僕は、いちごを売りたいんじゃない。

僕は最近、農園の価値って単純にモノの価値だけでは測れないなと思うようになりました。

いちごがおいしい。

ぶどうがおいしい。

もちろんそれは一番大事な部分ですが、人が本当に覚えているのは、果物の味だけではないと思ってます。

誰と来たか、どんな天気だったか、子どもの表情とか。

人の記憶に残るのは、案外そういうことなんじゃないかなと思っています。

僕がこれから作りたいモグベリーもそんな場所です。

春はいちごで秋はぶどう。

その向こうには田んぼがあって、山が見えて、水路には水が流れてる。

子どもたちは芝生で遊んで、大人はゆったりくつろいでる。

特別なものはないけど、なんとなく居心地がいいし、どこを切り抜いても絵になる。

僕は、そういう場所を作りたいと思っています。

前回、これから借金が6,500万円くらいになるという話をしました。

じゃあ、そこまでして何を作りたいのか。

今日は、その話です。

僕たちは田舎に住んでいるので、田んぼも、山も水路も、普段意識していません。

そこにあって当たり前です。

でも、観光農園をやって、いろんな人に来てもらうようになってから、少し見え方が変わりました。

季節の変化を五感で感じられることって、すごく贅沢なんじゃないかと。

便利なものは、どんどん増えています。

欲しいものはネットで買える。

おいしい果物も家に届く。

家に居ても、それなりに楽しめる。

だからこそ、わざわざ外に出てその場所まで行く理由って、これからもっと大事になる気がしています。

果物を買うだけなら、農園に来なくてもいい。

でも、その場所の空気を感じる。

家族で同じ景色を見る。

子どもが走っているのを眺める。

そういう時間は、その場所に行かないと生まれません。

僕は、そこにモグベリーの価値を作りたいと思っています。

遊具をたくさん置けば人が来るかもしれないし、物販を増やせば売上も増えるかもしれないです。

でも、そういうことではないんです。

僕は、今ある風景をちゃんと残したい。

田んぼが見えること。

山が見えること。

水路に水が流れていること。

それを邪魔しないように、景色の抜けや、余白を残しながら必要なものだけを足していく。

余白ってすごく大事だと思うんです。

予定を詰め込むんじゃなくて、何もしない時間。

子どもが勝手に遊んでいる。

大人はそれを見ながら会話をしている。

そういう時間の方が、あとで思い出に残ることもあると思います。

たぶん、人がまた行きたいと思う場所って

「何があったか」

だけではなくて

「そこでどういう気持ちになったか」

なのかなと。

モグベリーも、そうなれたらいいと思っています。

いちごがおいしかった。

ぶどうがおいしかった。

それに加えて、なんか落ち着いた。

なんか気持ちよかった。

また家族で来たい。

そう思ってもらえたら、すごく強いんじゃないかと。

そして最終的には

「いちご狩りに行こう」

ではなくて

「モグベリーに行こう」

と言ってもらいたい。

果物はもちろん主役ですが、果物だけが目的じゃなく、その場所で過ごす時間までを含めて、モグベリーになればと思っています。

これから、ぶどうも増えます。

建物も作ります。

でも、何でも新しくしたいわけではありません。

新しいものを作りながら、昔からあるものを残す。

そのバランスを大事にしたいです。

農園が大きくなった時に

「昔の方がよかったね」

とは言われたくない。

便利になった。

でも、この場所らしさは残っている。

そういう成長の仕方をしたいと思っています。

前回話した6,500万円の借金も、そのための投資です。

ただ設備を増やすためではなくて、これから10年、20年と続く場所を作るための投資にしたいと思っています。

そして、子どもの頃にここに来た人が、自分の子どもを連れて戻ってきて

「ここ、昔来たんよ」

と言ってくれたら、この場所を作ってよかったと思える時だと思います。

僕が作りたいのは、大きな農園ではなく思い出が積み重なっていく農園です。

果物があって、田んぼがあって、山があって、水が流れていて、大人も子どもも居心地のいい空間。

僕はそんな場所を作りたいと思っています。

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